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大腿骨頚部骨折
骨粗鬆症の高齢者に多く、特に女性に多い。女性は男性より約3倍多いと言われている。骨折の95%は転倒により起こる。
高齢者の骨折のなかでは最も頻度の高いものである。
内側型と外側型と二種類あり、内側骨折・外側骨折に関わらず、頚体角の増減によって、内転型と外転型を分けられる。
■症状
股関節部に強い痛み、腫張、歩行不能。痴呆症状のある方や咬合骨折や不完全骨折の場合は歩けることもある。
膝関節伸展位での下肢拳上が不可能になる。典型的に下肢(足)は、外旋位をとり、大転子の上方転位によって患肢の短縮を認める。大転子部の叩打痛。股関節部に異常音がすることもある。
アンピルテスト陽性
●大腿骨頚部内側骨折
内側骨折の場合、関節包内骨折のため腫脹が著名ではない。内出血が少ない。
少し足を捻ったぐらいでも発生する。骨癒合がしにくく、偽関節や大腿骨頭壊死を起こしやすい。
理由は
- 骨頭の血流は、主に大腿骨頭部から入ってくるために、骨折により血管が損傷され骨頭側の血流が阻害されてしまう。
- 関節包内の骨折で骨折部に骨膜が存在せず、骨膜性化骨を形成できないため。
- 骨折線の方向により骨折部に対して剪刀力が働く。
- 高齢者に多発する骨折のため骨形成能が落ちている。
ガーデンの分類
- STAGE1:不全骨折(楔合外転型骨折も含む)保存療法可能。
- STAGE2:完全骨折で転移のないもの。保存療法可能。
- STAGE3:完全骨折で部分的転移(経度の転移)を伴う。
骨接合術または、人工骨頭置換術。 - STAGE4:完全骨折で完全転移(高度の転移)を伴う。 人工骨頭置換術。
●大腿骨頚部外側骨折
明らかな転倒、転落で発生する。内出血が多くみられる。痛み、腫脹が著名。
関節包外の骨折なので血流がよく、骨癒合しやすい。
- エバンス分類
安定型と不安定型とに分類。
- 内転型骨折
頚部内側骨折のほとんどが内転型骨折である。
頚体角減少=大転子高位=下肢の短縮。内反股になる。
- 外転型骨折
頚部内側骨折の外転型骨折は比較的少なく、噛合している場合がほとんどである。噛合している場合、骨性癒合を望めるので、オペしなくてもよい。
頚体角増大=大転子低位=下肢の延長。外反股になる。
●合併症
- 大腿骨骨頭壊死
- 偽関節
- 遷延治癒
- 沈下性肺炎
- 老人性痴呆
- 褥瘡
- 静脈血栓塞栓症
■治療
- できるだけ早期に歩行できるようにすることが重要。
- ひびだけの場合や他の病気で体の状態が悪く手術が不可能な場合を除いて、ほとんどの場合は手術による固定が必要。