症例
セーバー病
成長期(8歳~16歳)の子供の運動のやり過ぎによる踵の痛み。
成長期を過ぎればほぼ完治するため、予後が良好な障害。
症状
運動後に踵後方に痛みを訴える。踵後方に圧痛があり、ひどい場合は靴が履けなくなる。子供の骨は骨の全てが完全に骨化しておらず、成長するための骨端軟骨(成長軟骨)がありこの成長軟骨に繰り返し負担がかかると軟骨に炎症がおこり痛む。
アキレス腱が踵に付着しているため、伸張すると炎症が起きている軟骨を引き離す力が働くため痛みを誘発する。
診断
単純X線踵骨側面像で踵骨後端部の骨化核に変化がみられる。経過は長く、治癒したかと思うと再発することがあるが、加療の有無にかかわらず、ほぼ完治し予後は良好。
アキレス腱炎、アキレス腱周囲炎、骨髄炎との鑑別が重要で、X線像から鑑別は容易。踵骨骨端核が骨硬化により白っぽく写る。
治療
加重時に踵の成長軟骨(骨端核)に負荷がかからないようにする。例えば、靴底のクッション性に優れ、土踏まずのアーチが落ちない靴を履いたり、下敷き(インソール)などを利用して踵を少し高くするなど指先に体重がかかるようにする。
じっとしていても痛い場合や運動後に痛い場合などは炎症が強く出ているので踵をアイシングをして、運動は中止する。時には松葉杖を使って負荷を避ける。
また、ふくらはぎの筋肉を柔らかくするためにストレッチやマッサージをする。ストレッチやマッサージで痛みが出るようなら無理にはしないこと。加重時は痛みがないがストレッチなど牽引する力が加わる時に痛い場合は踵にテーピングをしたりもする。テーピングはキネシオテープなど伸張性があるものを使用することが多い。