足関節捻挫
捻挫とは関節が捻られ、骨以外の軟部組織が多かれ少なかれ断裂した状態。
レントゲンで骨折や脱臼のない関節の外傷はすべて捻挫と診断される。
足関節に見られる全外傷のうち75%をしめられるとされ、発生頻度の高い疾患の1つとされている。
殆どが保存的療法で改善。
■捻挫の分類
●第1度:
筋・腱単位のわずかな損傷、単に引き伸ばされた程度のもので、後に影響を残すことは少ない、圧痛、軽度の腫脹、筋の場合、硬結などは認められない。関節包は痛んでいない。
- 荷重かけられる。
- 皮下出血なし。
- 回復期間:1週間以内
- 保存療法
●第2度:
筋・腱単位の部分損傷(断裂)である。圧痛、腫脹、筋の場合は圧痛、硬結を認める。経度の関節の不安定性がある。関節包に損傷あり。
- 荷重は痛みを伴う。皮下出血は伴う事が多い。
- 回復期間:約3週間
- 保存療法
●第3度:
筋・腱単位の完全損傷(断裂)である。筋の場合、局所の硬結が著しい。腫脹、圧痛、疼痛が強い。関節の不安定性が強くなる。関節包損傷あり。
- 加重不可。 皮下出血伴う。
- 回復期間:6~12週
- 保存療法 又は 手術療法
■症状
足関節の腫脹、損傷部位の圧痛、受傷時と同じ足関節の方向への他動運動で痛みがある。
足関節(足首)捻挫のほとんどは、足関節を内側に捻って起こす外側靭帯の損傷が多い。
中でも前距腓靱帯を損傷する事が最も多い。次いで、踵腓靭帯、後距腓靭帯の損傷が多い。
前距腓靭帯の断裂の場合、前方引き出しテスト陽性(5mm以上の動揺)。
10歳以下の小児の場合は、靭帯損傷はほとんどなく腓骨下端の裂離骨折となる。
三角靭帯は強力な靭帯であるため、損傷したときは重度となりやすい。
他には前頸腓靭帯、後頸腓靭帯、長短腓骨筋、二分靭帯の損傷があり、二分靭帯の損傷には踵骨前方突起の剥離骨折を伴うこともあるが、単なる足関節捻挫と間違われていることがよくある。
この靭帯のすぐ外側に痛みが強い場合は、短腓骨筋の牽引による第5中足骨基部剥離骨折を起こしていることがある。
外反捻挫の場合には、三角靭帯を損傷することが多い。
内反捻挫が多い理由:
- 内側の三角靭帯が、外側の靭帯に比べて強度が大きい。
- 内果の位置が外果に比べ、近位に位置しており内側に捻りにくい構造となっている。
- 距骨滑車前方に比べ後方が狭いことで、底屈で足関節の遊びが大きくなり不安定性がでる。
- 腓骨筋が底屈位で機能しづらく不安定性がでる。
■治療
- RICE処置を行う。
REST=安静
ICE=アイシング
COMPRESSION=圧迫
ELEVATION=挙上
- 3度の損傷に対して、かつては手術治療が積極的に行われることが多かったが、最近は保存治療をすることが増えてきた。
- 足関節の靭帯は断裂しても修復されるが、きちんと固定していないと靭帯が緩んだまま固まってしまい足関節不安定症につながる。緩みが重度の場合や激しいスポーツをする場合は手術を行う場合もある。