タナ障害(滑膜ヒダ障害)
■症状
膝蓋骨の内側に引っかかるような感じがあり、膝を動かすときに痛みがある。
膝の屈伸でコリッと音がする。
膝蓋骨の内側のやや下方に索状物と圧痛が認められる。思春期から青年期に多い。
■原因
胎生期に関節を覆う袋(関節包)が造られていく過程で一時的にできる「滑膜ひだ」が、遺残としてその後も存在する状態で、膝関節の関節包の内側にもともと約50%の人に「滑膜ひだ」が存在する。
このひだが関節に挟み込まれて炎症をおこし痛みを生じる。
■治療
- 大腿四頭筋の強化とストレッチ。
- ひどい場合は、稀に関節鏡視下で手術する。
- 膝を温める。
足関節捻挫
捻挫とは関節が捻られ、骨以外の軟部組織が多かれ少なかれ断裂した状態。
レントゲンで骨折や脱臼のない関節の外傷はすべて捻挫と診断される。
足関節に見られる全外傷のうち75%をしめられるとされ、発生頻度の高い疾患の1つとされている。
殆どが保存的療法で改善。
■捻挫の分類
●第1度:
筋・腱単位のわずかな損傷、単に引き伸ばされた程度のもので、後に影響を残すことは少ない、圧痛、軽度の腫脹、筋の場合、硬結などは認められない。関節包は痛んでいない。
- 荷重かけられる。
- 皮下出血なし。
- 回復期間:1週間以内
- 保存療法
●第2度:
筋・腱単位の部分損傷(断裂)である。圧痛、腫脹、筋の場合は圧痛、硬結を認める。経度の関節の不安定性がある。関節包に損傷あり。
- 荷重は痛みを伴う。皮下出血は伴う事が多い。
- 回復期間:約3週間
- 保存療法
●第3度:
筋・腱単位の完全損傷(断裂)である。筋の場合、局所の硬結が著しい。腫脹、圧痛、疼痛が強い。関節の不安定性が強くなる。関節包損傷あり。
- 加重不可。 皮下出血伴う。
- 回復期間:6~12週
- 保存療法 又は 手術療法
■症状
足関節の腫脹、損傷部位の圧痛、受傷時と同じ足関節の方向への他動運動で痛みがある。
足関節(足首)捻挫のほとんどは、足関節を内側に捻って起こす外側靭帯の損傷が多い。
中でも前距腓靱帯を損傷する事が最も多い。次いで、踵腓靭帯、後距腓靭帯の損傷が多い。
前距腓靭帯の断裂の場合、前方引き出しテスト陽性(5mm以上の動揺)。
10歳以下の小児の場合は、靭帯損傷はほとんどなく腓骨下端の裂離骨折となる。
三角靭帯は強力な靭帯であるため、損傷したときは重度となりやすい。
他には前頸腓靭帯、後頸腓靭帯、長短腓骨筋、二分靭帯の損傷があり、二分靭帯の損傷には踵骨前方突起の剥離骨折を伴うこともあるが、単なる足関節捻挫と間違われていることがよくある。
この靭帯のすぐ外側に痛みが強い場合は、短腓骨筋の牽引による第5中足骨基部剥離骨折を起こしていることがある。
外反捻挫の場合には、三角靭帯を損傷することが多い。
内反捻挫が多い理由:
- 内側の三角靭帯が、外側の靭帯に比べて強度が大きい。
- 内果の位置が外果に比べ、近位に位置しており内側に捻りにくい構造となっている。
- 距骨滑車前方に比べ後方が狭いことで、底屈で足関節の遊びが大きくなり不安定性がでる。
- 腓骨筋が底屈位で機能しづらく不安定性がでる。
■治療
- RICE処置を行う。
REST=安静
ICE=アイシング
COMPRESSION=圧迫
ELEVATION=挙上
- 3度の損傷に対して、かつては手術治療が積極的に行われることが多かったが、最近は保存治療をすることが増えてきた。
- 足関節の靭帯は断裂しても修復されるが、きちんと固定していないと靭帯が緩んだまま固まってしまい足関節不安定症につながる。緩みが重度の場合や激しいスポーツをする場合は手術を行う場合もある。
上腕骨外側上顆炎(テニス肘)
■症状
物をつかんで持ち上げる動作やタオルをしぼる動作をすると、肘の外側から前腕にかけて痛みが出現する。多くの場合、安静時の痛みはないが症状が強いと安静時の痛みもある。外側上顆部の圧痛。レントゲンでは異常がないことが多いが、進行すると外側上顆部の骨の変形を生じる。
テニスのバックハンドにより発症することが多いのでテニス肘と呼ばれているが、実際には労働による発症が多い。
30代から50代の女性に多い。30代からテニスを始めた人に多い。
- トムゼンテスト陽性
- チェアーテスト陽性
- 中指伸展テスト陽性
■原因
短橈側手根伸筋の起始部が肘外側で障害されて腱の変性が生じると考えられている。
■治療
- 患部の安静。(健側の手をよく使う。)
- 手関節伸展動作を避けるために、重量物を持つときは前腕伸筋群起始部に負荷がかからないように、手のひらを上に向けて(手関節回外位)持ち上げること。
- テニスエルボーバンドの装着。
- 前腕伸筋群のストレッチ。
石灰沈着性腱板炎
■症状
夜間の突然の激痛から始まり、肩の関節拘縮に移行することが多い。
レントゲン又は超音波画像で、石灰を確認することができる。
石灰は、殆ど白血球の貪食作用によって自然に吸収され、無くなる。
40代~50代の女性に多い。
■原因
腱板(棘上筋、棘下筋)などに石灰(リン酸カルシウム結晶)が沈着して炎症を起こす。
この石灰は、最初はミルク状で次第に硬くなり、膨らんで腱板から滑液包内に破れ出ると激痛を伴う。
なぜ石灰が沈着するかは不明。
野球肘
投球動作の繰り返しによって肘関節に生じる疼痛性障害の総称。
繰り返しボールを投げることによって肘への負荷が過剰となることが原因。
肘の内側で靭帯、腱、軟骨が痛み(内側型野球肘)、肘の外側で骨同士がぶつかって、骨、軟骨が剥がれたり痛んだりする。(外側型野球肘)
また、肘の後方でも骨、軟骨が痛む。(後方型野球肘) があり、約90%以上が内側に起こる。
発生の時期では二種類あり
・発育型野球肘 : 成長途上の骨端を中心とする骨軟骨の障害
・成人型野球肘 : 成長完了後の関節軟骨や筋腱付着部の障害
に分けられる。
●内側型野球肘(上腕骨内側上顆炎)
■原因
投球動作では、加速期に腕が前方に振り出される際に肘に強い外反ストレスが働き、さらにその後のボールリリースからフォロースルー期には手首が背屈から掌屈に、前腕は回内するため、屈筋・回内筋の付着部である上腕骨内側上顆に牽引力が働く。この動作の繰り返しにより、内側側副靭帯損傷、回内・屈筋群筋筋膜炎、内側上顆骨端核障害や内側側副靭帯の牽引による剥離骨折などが起こる。
■症状
内側上顆部の疼痛、腫大、圧痛、軽度の肘伸展制限、硬結。
1度
痛み発生から約二週間、腫脹、圧痛は軽微で、抵抗下での手関節の自動的屈曲では疼痛が増強、X線上には変化がない。
2度
腫脹や圧痛が著明、手関節の他動的背屈または、抵抗下での自動的屈曲により疼痛増強、X線上に変化が見られるもの。
3度
腫脹はびまん性で患部は腫大し、圧痛は著明で運動制限を訴え、他動的運動、抵抗下での自動的屈曲は疼痛のため不能を認め、X線上に骨端軟骨層の拡大、関節遊離体(関節鼠)など明らかに変化を認める。
内側側副靭帯損傷では、投球時の肘関節内側痛、肘間節の内側に圧痛があり、外反ストレステストで陽性反応がでる。テークバックからの加速期に痛みが起こり、日常生活では痛みは無症状の事が殆どだが、重症例では日常生活の不安定性や痛みが出現し、不安定性により尺骨神経が傷害(肘部菅症候群)され、痺れや感覚障害を生じることもある。
●外側型野球肘(上腕骨小頭離断性骨軟骨炎)
■原因
小学校高学年から中学校低学年に初発することが多い、野球肘外側型障害の代表的なものであり、繰り返す投球動作における外反ストレスにより、上腕骨小頭の骨軟骨が変性、壊死を生じるもので、病名に「炎」とあるが実際には炎症性の疾患ではない。
投球動作の加速期における外反ストレスによって、腕橈関節と呼ばれる肘関節の外側に圧迫力が働き、さらにフォロースルー期で関節面に捻りの力も働く。このストレスの繰り返しにより生じるのが外側型野球肘であり、上腕骨小頭離断性骨軟骨炎、橈骨頭肥大、橈骨頭障害などがある。離断性骨軟骨炎には透亮期、分離期、遊離期に分類される。
■症状
上腕骨小頭部の圧痛。肘関節の運動時痛や可動域制限が主な症状で、症状が進行すると、病巣部の骨軟骨片が遊離して関節内遊離体(関節ねずみ)になり、引っ掛かり感やロッキングを来し、滑膜炎と呼ばれる関節内の炎症を起こすこともある。
透亮期:
X線上で骨の影が不鮮明になった状態、上腕骨小頭に壊死層が見られる。
投球時に肘の内側や外側が痛み、痛みの場所に圧痛がある。投球を休めば痛みはなくなる。
分離期:
壊死した骨と正常な骨に分離線が現れる。投球のたびに肘に痛みが出て肘の曲がりや伸びが悪くなる。手術をしなければならない。
遊離期:
壊死した骨が離れ、関節の中に落ちた状態。関節内に落ちた遊離体が、関節の間に挟まって突然肘が動かなくなり、強い痛みがでる。手術をしなければならない。
分離期、遊離期まで症状が進行すると、投球動作のスポーツが十分にできなくなるため、早期発見、早期治療が重要である。
●後方型野球肘
■原因
投球の加速期における外反ストレスと減速期からフォロースルー期にいたる肘関節伸展強制によって、上腕三頭筋の遠心性収縮により上腕三頭筋腱に炎症がおきる。肘頭は上腕骨の後方にある肘頭窩に衝突するようなストレスを受け、この動作の繰り返しにより、肘頭疲労骨折や骨棘形成、肘頭骨端線閉鎖遅延などが起こる。
■症状
肘後方の肘頭骨端線部に圧痛が見られ、加速期からフォロースルー期にかけて疼痛が みられる。肘の伸展制限がみられることが多い。
肘頭疲労骨折では、自発痛、圧痛著明、骨折部の痛み、限局性圧痛は著明である。
腫脹は骨折部中心にみられる。骨折部が離開を示す場合は、その裂隙部に横走する陥凹を指頭によって触知できる。骨片転移がある場合は、近位骨片が後上方に突出変形しているのが皮膚上から認められる。合併症として尺骨神経を障害する場合がある。
■予防・治療
予防としては投球数の制限および早期発見と、治療期間中の投球禁止が重要である。
少年野球における肘の障害は大きな問題であり、これらに対して連盟も取り組んでおり、変化球を投げた場合にはストライクとならない、またはプレーを無効としたり、試合数の限度を1日2試合までとする制限を設けている。
日本臨床スポーツ医学会の提言。
投球制限
小学生は 1日50球/週200球以下
中学生は 1日70球/週350球以下
高校生は 1日100球/週500球以下
投球禁止
炎症と関節腫脹が消退するまで投球を禁止する。その後、筋力増強、ストレッチ、投球フォームの矯正を行う。
内側側副靭帯の断裂や剥離骨折に対しては靭帯再建術を行う。
急性期を過ぎたら温熱療法を行う。
離断性骨軟骨炎の透亮期では投球禁止期間は6ヶ月から1年を要することが多い。
離断性骨軟骨炎で手術が必要な場合は、分離期では骨釘移植、遊離期では骨軟骨移植術を行う。




